【年末の贈り物】村の少女　世界少女名作全集10 ウォロンコーワ作　袋一平訳　岡野謙二画　講談社

〈解説文は全て独自で書いております。無断使用はご遠慮下さい。〉

★昭和40年発行。函付き。
★函＝全体に経年ヤケ、スレ傷汚れ有。小口側に
　　　小破れ有。
★本体＝三方に経年ヤケ、シミ汚れ有。表紙の角の
　　　　天地に角スレ有。見開き、見返し、扉に
　　　　ヤケシミ有。紙面黄変、p243〜p246の
　　　　下端に折れ跡有。背の斜め変形有。

★★上記以外、本文内は目立つシミ汚れ等無く、製本は堅牢、ご愛読に支障は御座いません。然し乍ら、59年経過の古書です。経年の傷み等気になる方はお避け下さい。
　
　第二次大戦中の、ソ連の農村地区のお話です。
独逸軍に攻撃され、焼け出されてしまった村人たち。

　何とか村を再建しようと、文字通り這いつくばって農地の耕作に老若全員で取り組んでいます。戦争で被害を受けた人達の、困苦を極めた事情に胸が痛みます。

　物語の中心は、責任感が強く真面目なグルーニャ、その友達のサッパリしてお喋りなステンカ、我儘なライサ、といったの少女達です。

　力が強くて、プライドの高い少年ロマシカ、ステンカの弟の、お人好しなトロフィムらが起こすトラブル。怠けて陰口ばかりのライサ。

　子供班の班長に選ばれたグルーニャは、どう指揮をとって農作業を進めて行くかに頭を悩まします。

　学生時代に級長や、仕事で管理職を経験された方なら、グルーニャの悩みが身に沁みてよく分かると存じます。

　そう、人って思うようには動いてくれないのです。正論を振り翳すだけでは人はついて来ない。

　頭が良い人は、器用に手を抜いたり、反論したりする。そうで無いタイプなら、言われた事の最低限しかせずに、実りある仕事をしない。

　先ずは、構成員全員の性格、能力を把握して信頼関係を構築。仕事を割り振って成長させ、全体を纏めて成果を上げるのが、長のつく立場の人間の役目なんですが。

　グルーニャは歳の割に、人を逸らさず纏める力が有ります。勿論、悩んで悩んでの末です。人との信頼関係の作り方、人の扱い方を学べる内容です。

　未だ幼いトロフィムが、戦争で盲目となって帰還した父親に献身的に尽くす姿は、愛情深くいじらしい。子供達が其々の立場で心を伸ばしていく様をご覧下さい。

　状態は、上記★書きと画像よりご判断下さい。

古書にご理解のある方との、嬉しいご縁を心よりお待ち致しております。

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